アルミ圧着端⼦について
従来のアルミケーブルの端末処理には、圧縮端⼦が使⽤されています。アルミケーブルの圧縮接続は世界的に⾒ても確⽴された技術ですが、油圧式圧縮⼯具を⽤いて、例えば150SQの端⼦では2ヵ所も押しつぶす必要があり、現場での作業に多くの⼿間と時間がかかっていました。この課題を解決すべく開発したのが、業界初となるアルミ電線⽤圧着端⼦と専⽤の圧着ダイスです。従来の銅線⽤の圧着端⼦の⼯具で圧着可能であり、圧着回数を削減しました。今はまだマイナーなアルミ配線ですが、利便性を追求することで、アルミ端⼦を多くの⽅々にご使⽤していただけるような、新たな未来をつなぐ価値を提供いたします。
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従来方式
「圧縮」方式
圧縮箇所は2箇所以上 -
新方式
「圧着」方式
圧着箇所は従来通り
アルミ圧着端⼦の特徴
アルミ電線の接続に用いる端子は、⼀般的にアルミ端⼦を使⽤します。理由としては、アルミと銅の物性の違い(線膨張率)により、通電を繰り返すと保持⼒が低下する恐れがあることに加え、アルミと銅のイオン化傾向の違いにより、接触部からアルミが腐⾷する可能性があるためです。海外製のアルミ端⼦が先に市場に存在していましたが、以下の特徴をそろえることで、⽇本国内の環境により適したアルミ端⼦を独⾃開発しました。
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POINT
圧着⽅式
従来の接合は「圧縮⽅式」が主流でした。これには特殊な⼯具が必要で⼿間もかかります。そこで、施⼯が簡易で、かつ⼀般に普及している電動⼯具を使⽤できる「圧着⽅式」にしました。
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POINT
カラーガイド
圧着位置をカラーガイド線で明⽰することが可能です。圧着位置がわかりづらい作業現場でも、これにより圧着位置の間違いを予防できます。更に、カラーガイドの⾊調はサイズにより異なるので、ケーブルの誤挿⼊も阻⽌できます。
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POINT
コンパウンド
アルミ端⼦を使⽤する際は、接合部の酸化防⽌及び疎⽔性担保のため「コンパウンド」(ゲル状の絶縁油)を施⼯前にアルミ導線に塗布しますが、当社製品ではあらかじめ電線挿入部内面に均一かつ定量を塗布してありますので、作業負担が低減するとともに塗り忘れが防止でき信頼性向上に役立ちます。また、冷間鍛造製法により、⼀体成形されているので漏れがありません。
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POINT
JIS規格準拠
従来品は海外規格のみで、⽇本⼯業規格(JIS C2810)に適したサイズはありませんでした。独⾃開発により、JIS規格に準じた電線サイズでの使⽤が可能となりました。また、性能テストに関してもJIS規格を満たす⾼い基準で⾏っています。信頼性と安全性を兼ね備えています。
アルミ圧着端⼦仕様
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アルミ端⼦製品をご紹介します。ボルト孔径等などカスタマイズのご要望はお問い合わせください。
圧着端⼦⼨法表
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型番別一覧
製品品番 L ΦOD ΦID W T ΦHD 適合導体
断面積(㎡)内箱入数 外箱入数 AL38-8 62 15 8.5 20 3.8 9 38 35 内箱8箱
(280個)AL60-8 73 20 11 24 5.0 9 60 30 内箱8箱
(240個)AL100-10 90 25 14 28 7.1 11 100 25 内箱4箱
(100個)AL150-10 106 28 17 36 8.3 11 150 20 内箱4箱
(80個)AL200-12 119.5 32 19.7 41 8.6 14 200 – (56個) AL250-16 137.5 36 22 36 10.8 17.5 250 – (42個)
アルミケーブルが注⽬されています!
ビル、マンション、⼯場や商業施設の屋内配線には、架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(以下、CVケーブル)が広く使⽤されています。CVケーブルの導体には⼀般的に銅が使⽤されていますが、近年、銅地⾦価格は⾼値で変動していることから、地⾦価格変動リスクが懸念され、ケーブル調達業務が煩雑化しつつあります。また、導体にアルミニウムを採⽤することで、CVケーブルと⽐べて同サイズで約半分の質量であり、現場の作業負荷を劇的に軽減することができます。
近年、建設現場における労働⼒不⾜や⾼年齢化が深刻化している⼀⽅で建設現場における⽣産性向上の推進も⾄上命題となっており、作業の省⼒化や関連する業務の効率化に貢献する資機材のニーズが⼀段と⾼まっています。今後はビル・マンションや太陽光発電所をはじめとする様々な⽤途でアルミニウムを使⽤した導体が普及が⾒込まれます。
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ビル・マンション
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太陽光発電所
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実例
冨⼠端⼦⼯業では、アルミの使⽤⽤途を弱電⽤など幅広く普及できるように、信頼性の⾼い接合⽅法を応⽤して「銅・アルミの接合技術」を確⽴しました。この技術により、⾮常に信頼性の⾼いアルミケーブル導⼊環境を構築可能です。
エネルギー社会に対するアルミの社会実装に向けての新技術開発!
FSW技術紹介サイト

バイメタル端子について
バイメタル端子とは、アルミ製の筒部に銅端子の舌部を接合したものです。ブレーカー等の既設の銅インフラに、アルミ電線を接続する際に使用することができます。
一般的にアルミ電線から銅インフラに接続する際は、中継ケーブルでボックス外に出し、改めて銅・アルミ変換機器としての端子台を介してアルミ電線に接続します。そのため作業に時間を要します。また、アルミ端子と異なり接続部が銅材となるので省スペースでの接合が可能となります。つまりバイメタル端子とは、アルミ端子が抱える課題を解決する端子となります。
※銅とアルミの接合品であるとの理解を容易にするため当社試作品はメッキ前の写真を掲載しています。
バイメタル端子の特徴
バイメタル端子は、当社の高品質を誇るアルミ端子の長所を生かした設計となります。すでに海外市場にはバイメタル端子は存在していますが、以下の特徴をそろえることで、今までにない日本独自の環境に適した性能となります。
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POINT
筒部がアルミ端子と同等性能
当社アルミ端子の特長である圧着方式、カラーガイド、コンパウンド、JIS規格準拠を踏襲しています。作業効率の向上、信頼性と安全性を併せ持ちます。
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POINT
全面メッキ処理
端子上で銅・アルミ変換する必要があるため、メッキで電蝕対策をしています。特殊な前処理を行い、製品全体にメッキ処理を施すことで、信頼性が飛躍的に向上しています。
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POINT
端子舌部の多様な形状
舌部が低圧開閉器に適した形状であるBMタイプと、先端が円形になっているBMRタイプの二種類を開発しています。使用される接続機器の形状に合わせた端子を選ぶことができます。
バイメタル圧着端⼦仕様
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バイメタル圧着端子製品をご紹介します。ボルト孔径等などカスタマイズのご要望はお問い合わせください。
バイメタル圧着端⼦⼨法表「BM」
BM -
型番別一覧
製品品番 L ΦOD ΦID W T ΦHD 適合導体
断面積
(mm2)内箱
入数外箱入数 BM100-8 88 25 14 16 4.2 8.4 100 25 内箱4箱
(100個)BM150-8 104 28 17 22 5.2 8.4 150 20 内箱4箱
(80個)BM200-12 123 32 19.7 25 6.7 13 200 9 内箱4箱
(36個)BM250-12 136 36 22 25 6.7 13 250 9 内箱4箱
(36個) -
バイメタル圧着端子寸法表「BMR」
BMR -
型番別一覧
製品品番 L ΦOD ΦID W T ΦHD 適合導体
断面積
(mm2)内箱
入数外箱入数 BMR60-8 81 20 11 22 3.0 9 60 30 内箱4箱
(120個)BMR100-10 89 25 14 22 3.0 11 100 25 内箱4箱
(100個)BMR150-12 105 28 17 28.5 4.0 13 150 20 内箱4箱
(80個)BMR200-12 133 32 19.7 36 4.6 13 200 9 内箱4箱
(36個)BMR250-16 145 36 22 36 4.6 17.5 250 9 内箱4箱
(36個)ボルト孔径違いはお問い合わせください。
対応工具・対応キャップ
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アルミ圧着端子・バイメタル端子共通 型番別一覧
適合工具一覧
製品品番 マクセルイズミ社 カクタス社 ダイア社 AL38〜AL250 REC-Li250M
S7G-M250H
S7G-M250REV-250DL HPN-250RLB 適合ダイ一覧
製品品番 アタッチメント 延長ロッド マクセルイズミ社 カクタス社 ダイア社 マクセルイズミ社 カクタス社 ダイア社 AL38 不要 アタッチメント
ATC38-150アタッチメント
ADA38-150不要 延長ロッド
RCT38-250延長ロッド
RDA38-250AL60 不要 不要 AL100 不要 不要 AL150 不要 不要 AL200 アタッチメント
AIZ200-250アタッチメント
ATC200-250アタッチメント
ADA200-250延長ロッド
AIZ200-250AL250 製品品番 圧着コマ メスダイス オスダイス ヨーク 各社共通 各社共通 各社共通 各社共通 AL38 圧着コマ
CP38-150AL38-P AL38-D 共通ヨーク
HLD38-150AL60 AL60-P AL60-D AL100 AL100-P AL100-D AL150 AL150-P AL150-D AL200 不要 AL200250-P AL200-D 不要 AL250 不要 AL250-D 不要 対応キャップ
型番別一覧 製品品番 LL L1 L2 L3 ΦOD ΦID ALTC38ー**** 66 41 12 13 20.5 17.5 ALTC60ー**** 71 42 15 14 25 22 ALTC100ー**** 79 42 19 18 30.9 27.5 ALTC150ー**** 85 44 21 20 34.5 30.5 ALTC200ー**** 95 52 28 15 42 38 ALTC250ー**** 106 54 37 15 45.5 41.5 ー****には色を表す記号が入ります。
- 単色品
- 一部透明品
- 赤:ーRD
- 透明/赤:ーC/RD
- 白:ーWH
- 透明/白:ーC/WH
- 黒:ーBK
- 透明/黒:ーC/BK
- 青:ーBL
- 透明/青:ーC/BL
圧着作業の手順
手順紹介動画
圧着工具の組み立て手順
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<手順1>
端子、使用ダイ、工具及び電線を用意します。 -
<手順2>
工具にアタッチメントをセットします。カチッと音が出るまで押し込み、右に回します。 -
<手順3>
延長ロッドをセットします。カチッと音が出るまで押し込みます。 -
<手順4>
押しダイをセットします。カチッと音が出るまで押し込みます。 -
<手順5>
受けダイをセットします。カチッと音が出るまで押し込みます。 -
<手順6>
押し込んだら右に回して、組み立て完了です。
電線への端子取り付けの手順
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<手順1>
電線と端子を用意します。端子は電線に合わせて種類を選択できます。 -
<手順2>
端子のシールを剥がし、工具に端子をセットします。 -
<手順3>
受け側ダイスの角を指示線の幅の間に合わせます。 -
<手順4>
端子に電線を挿入します。圧着する前に被覆部分を左右に回しコンパウンドをつけます。 -
<手順5>
圧着して、取付完了です。
Q&A
- なぜ電線のアルミ化と専⽤端⼦が注⽬されているのでしょう?
- 銅に⽐べて重量が軽く、原料鉱⽯が特定地域に偏らないため供給不安がなく、価格が安定しています。また、融点が低く酸化も⾃然環境下では進⾏しないので再⽣コストの⾯でも他の⾦属に⽐べて優れています。その軽さゆえケーブルの⼊線作業時の負担が軽減されます。
- アルミ導体⽤の専⽤圧着⼯具が必要ですか?
- 銅導体とアルミ導体の⼯具本体は共⽤できますが、アルミ専⽤のダイスが必要となります。また、ケーブルカッターをご使⽤の際は、アルミ導体ケーブルを切断する前に銅紛をぬぐい取ってから使⽤してください。電蝕の恐れがあります。
- コンパウンドはなぜ必要なのですか?
- 接合部の酸化防⽌および疎⽔性担保のために必要です。塗り忘れの防⽌のため、あらかじめ端⼦筒部内⾯に適量を塗布しています。
- 全てのアルミ電線に使⽤できますか?
- 電線メーカー様にお問い合わせしてください。確認がとれない場合、こちらのフォームよりお問い合わせ下さい。
- 銅導体のケーブルで使⽤できますか?
- お勧めできません。アルミと銅の物性の違い(膨張率等)により、通電を繰返すと保持⼒が低下し、抵抗値の増⼤による発熱が発⽣する恐れがあります。また、アルミと銅のイオン化傾向の違いにより、接触部からアルミ端⼦が腐⾷(電蝕)する可能性があります。
- ブラッシングは必要ですか?
- 導体表⾯のブラッシングは必要です。
- 腐⾷対策はどうしているのですか?
- 端⼦全体に錫メッキを施しアルミが露出しないようにしています。また、圧着部には疎⽔性を付与するためにコンパウンドを塗布しています。多湿環境下では圧着部と電線被覆部を防⽔テープで処理するのがベストです。施⼯⽅法については電線メーカー様にお問い合わせしてください。確認がとれない場合、こちらのフォームよりお問い合わせください。
お問い合わせ
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